外国人に「ウォシュレット」は通じない?
日本人なら誰でも知ってるウォシュレット。カタカナ表記なので、思わず「英語なのでは?」と思ってしまうが、これはレッキとした和製英語だ。
早稲田大学エクステンションセンターで「初めての英語ボランティアガイド〔基礎~初級〕」を担当する畝木淳子先生はこう解説する。
「ウォシュレットはTOTO社の登録商品名。海外の人に『ウォシュレット』と言っても通じないこともあります。
ビデ機能については、そのまま『bidet』ですが、日本のトイレについているおしり洗浄機能の呼び名は『massage fountain』や、『rear wash』と表現することもできます」(畝木先生。以下「 」内同)
「fountain(噴水)」という単語は、日本だとビュッフェなどによくある「チョコレートファウンテン」などがなじみ深い。日本のトイレの多機能ぶりは、あのマドンナも感動したと言われるほどで、外国人にもファンが多いので、単語を選んで説明してあげたいところだ。
続いて、意外と使用頻度が高いのが「squat type toilet」。
これは、いわゆる和式トイレのことで、「squat(しゃがむ)」という単語が入るのがポイントだ。和式トイレが苦手な外国人も多いので、案内する際にはきちんと事前に説明をしたいところだ。
「おしり=hip」は間違い
トイレ関連用語として、もうひとつ覚えておきたいのが「おしり」。
「『おしり』は英語で『hip』だと思いがちですが、これは骨盤あたりのことを指す単語であって、日本人のイメージする『おしり』とは違います。なお、『おしり』の比較的丁寧に言うには、『bottom』という表現がスマートです」
いくらは英語で何という? 魚卵と卵の違いは?
外国人を和食で接待する際、人気ベスト3に入る料理といえば寿司。
「サーモン(salmon)」「えび(shrimp)」、「まぐろ(tuna)」あたりの人気寿司ネタはともかく、意外と間違えやすいのが「いくら」だという。
「日本語だと『卵=egg』という名称が親しいので、つい『salmon egg』と言ってしまうところですが、魚卵は英語で『roe』と言います。なので、いくらは『salmon roe』が伝わりやすい。
そのほか、日本料理でもよくつかわれるたらこ(cod roe)、数の子(herring roe)、からすみ(dried mullet roe)なども和食文化を伝える上では、覚えておくといいですね」
「egg」でも伝わらないことはないが、よりワンランク上の英会話を目指すなら、「roe」を使いこなしたいところだ。
理解できなかったら気軽にパス
上記の内容は、畝木先生が受け持つ「初めての英語ボランティアガイド」の授業内で紹介された一例だ。
同講座は、早稲田大学エクステンションセンター八丁堀校の社会人向け公開講座のなかでも人気講座のひとつ。同校の英語授業では英語ボランティアガイドを志す人だけではなく、基礎的な英会話に興味がある人が集まっているという。
実際に授業に参加してみると、冒頭の畝木先生の挨拶に始まり、生徒から英語での質問が飛び交うなど、初心者が集まった授業とは思えない活気だ。
「参加されているのは、リタイアした年配の方から、子育てが落ち着いたので合間を縫って英語をもう一度勉強したいという主婦の方まで、様々です。英語が好きでも、英語の勉強自体は学校で教わってきたことしかやっていなくて、英語をしゃべることに抵抗感を持つ方も少なくありません。でも、授業中は全員にランダムに回答していただくので、人前で英語を話すことに慣れていった結果、英語でも活発に発言できるようになっていくのかもしれません」
人前で話すのが苦手な人や、理解できなかった場合は、気軽に「パス」できるので、当てられる側にもさほど負担はないようで、終始和やかな雰囲気。講義後も、「英語のおすすめの学習方法があれば教えてほしい」「初心者でも読みやすい英語小説はなんですか」などといった質問が飛び交うなど、受講生たちの学習意欲の高さが垣間見られた。
「語学は継続して勉強しないと忘れてしまうもの。昔は英語が得意な人だったとしても、勉強をサボるとすぐに言葉が出てこなくなってしまいますね。『自分はネイティブレベル』という自信のある人以外は、英語の勉強は継続されることをおすすめします」
うねきあつこ (株)オフィス・ビー・アイ講師。
専修大学文学部英米文学科卒。シュプリンガー・フェアラーク東京・出版営業部を経て、現在、Temple大学Japan修士課程在籍。また、株式会社オフィス・ビー・アイ他にて英語講師として、TOEIC対策・ボランティア通訳などを担当、幅広い層に英会話を指導している。通訳・翻訳家としても活躍中。英検1級。
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