「仕立て屋は職人の世界。本来は遅くても15~16歳くらいから修行をはじめないと仕立て屋の手にならないんですよ。でも、ここに通うみんなは頑張って、それなりに仕立て屋の手に近づいてますよ」と白瀬先生。
仕立て屋の手って、どんな手!?
白瀬先生曰く、「器用というだけでは表しきれない、針や指ぬきなどの道具が自分の手のようになじんで、生地を思い通りに操れる手のこと」だそうだが、生まれつき仕立て屋に向いた手というのもあって、見た目でもある程度わかるという。「たとえば彼の手がそうだね」と指差された30代の男性受講生の手を見せてもらうと……なるほど! 指がすっと細く長く、いかにも繊細で……、エロチックじゃないか(TVドラマ『愛していると言ってくれ』の頃[1995年]の豊川悦司や、今ならHey! Say! JUMPの伊野尾クンの手を想像してほしい)!!
教室を訪ねた日は講座の最終日で、受講生たちは広い作業台にのせた仮縫い中の服地に鼻をくっつけんばかりに黙々と作業をしていた。実は、1年間では完成しない人がほとんどで、これからは個々に先生方の元へ通っての補習授業になるという(これまたボランティア)。
意外なことに、受講生のうち洋服製造の仕事についているアパレル関係者は約2割。30代後半で仕立て屋を目指して仕事を辞め、修行中という求道者のような人もいるが、モノづくりの趣味が高じて高級テーラーの世界にハマってしまった人も多い。ハードルが高いほどモチベーションが上がるそうで、先生の情熱も、生徒のハマり方も、ディープ過ぎて萌えてしまう。別世界と思っていた高級テーラーだったけれど、この技術と熱は絶対に絶やさないでほしい。仕立て屋の恋ならぬ、仕立て屋に恋してしまいそうだ。
〔講座のココイチ〕11人に講師3人の充実体制。受講生に口をそろえて「安い」と言わしめる濃密な内容
〔おすすめ講座〕高級メンズ テーラー技術
取材講座データ | ||
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高級メンズ テーラー技術 | 文化服装学院オープンカレッジ | 2016年秋期 |
2017年3月11日取材(本文中の開講回数、受講料は2016年度のもの。2017年度は変更となっているので上記リンクをチェックしてください)
文・写真/まなナビ編集室