Q 夜に質のよい睡眠をとるために、昼寝をとるなら次のどれが一番よいでしょう?
A 午後1時頃に15分
B 午後2時頃に25分
C 午後3時頃に20分
「夜に十分寝ているはずなのに、なぜか午後眠くなる」という人は少なくありません。その理由として「ランチを食べすぎるのがよくないのかな……」と思っている人も多いのではないでしょうか。
ところがそれはどうも違うのです。早稲田大学人間科学学術院で睡眠を研究する岡島義先生によれば、「12時~16時の眠気は、睡眠リズムにより生じるものなので、誰でも生じます。なので,昼食を食べたから眠くなる、というわけではありません。その証拠に、たとえ昼食を抜いても眠くなります」と言います。
一般的に人間の体は、夜間に次いで、昼間にも眠くなるようにできているらしいのです。
12時~16時といえば、仕事や家事で最も忙しい時間。睡魔に負けてはいられません。でもどうしてもがまんできないという人は、昼寝をとるのも一つの解決策です。
しかし、とるタイミングと時間を間違えると、昼寝は夜の睡眠を妨害することにもなってしまうといいます。ではどんな昼寝がいけないのでしょうか。
よい睡眠のためにやってはいけない昼寝習慣
●20分以上寝てはダメ。昼寝はあくまでも仮眠。20分を越えると深い睡眠に入ってしまうので、起きた時に頭がボーッとしてしまいます。
●14時以降の昼寝は避けましょう。睡眠は睡眠欲求が溜まってきたときに寝ることで深く眠ることができますが、14時以降に昼寝をしてしまうと、そこから夜までに十分な睡眠欲求がたまらないからです。
よって、正解はAです。
20分以内の昼寝ですっきり起きるためには
20分以内の昼寝だとかえって眠気が増してしまうかも……という人は、昼寝に入る前にコーヒーや紅茶・緑茶など、カフェインを含む飲み物を摂取しておきましょう。
カフェインが効き始めるには少し時間がかかりますから、ちょうど昼寝している間に効果が表れ始め、すっきり起きられるかもしれません。なお、カフェインの効果は4~6時間続きますから、夜寝る前に飲むのはやめましょう。それこそ寝ている間に効果が表れて目が冴えてきてしまいます。
また、昼寝をするとき、横になってしまうとぐっすり寝入ってしまいやすいので、座ったまま昼寝するくらいがちょうどよいかもしれません。
昼寝の睡眠リズムをうまく活用して、健康な睡眠生活を送りましょう。
◎この記事は、岡島義(おかじま・いさ)先生(早稲田大学人間科学学術院助教)の著作『4週間でぐっすり眠れる本─つけるだけで不眠が治る睡眠ダイアリー』(さくら舎刊)をもとに、岡島先生へのインタビューを交えて構成しています。岡島先生がNECソリューションイノベータと開発したスマートフォンアプリ「睡眠日誌」も無償で提供されていますので、ぜひ本を見ながら睡眠記録を取りましょう。
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早稲田大学人間科学学術院助教 臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー
1979年東京生まれ。日本大学文理学部心理学科卒業、北海道医療大学大学院心理科学研究科博士課程修了。博士(臨床心理学)。公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター研究員、同研究所附属代々木睡眠クリニック心理士、東京医科大学睡眠学講座兼任助教、医療法人社団絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木主任心理士等を経て現職。睡眠障害や気分障害、不安症を認知行動療法により改善する研究を行っている。著書に『4週間でぐっすり眠れる本』(さくら舎)、共著に『認知行動療法で改善する不眠症』(すばる舎)、『不眠の科学』(朝倉書店)。NHKスペシャル 「睡眠負債が危ない~“ちょっと寝不足”が命を縮める~」を始め睡眠番組への出演も多数。
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取材・文・写真/まなナビ編集室(土肥元子)