がんといかに哲学的につきあうか、笑いの絶えぬ講座

医師との対話を通して考えるがん哲学@早稲田大学エクステンションセンター

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遺伝子組み換え食品を食べても問題はない

Q:話題がずれるかもしれませんが、いま遺伝子組み換え食品が増えています。これは人間が遺伝子操作をしているという点で問題でしょうか?

A:遺伝子組み換え食品を食べても問題はないんです、害になるわけではない。いまはクローン植物なんかも作られていますね。ただ植物はいいとしても、人間の場合に問題になるのは「多様性」が失われること。多様性が失われると、何か起きたときに、全滅するんですね。何かあったときに生き残るためには、多様性が必要なんです。寒さに強い人間と、暑さに強い人間がいることが、大切なんです。

我々が生きている間に何か問題が起こる可能性は低いかもしれません。しかし、自分の人生のみならず、人類の未来まで見通した上で為すべきか、為さざるべきかを考えるのが俯瞰的なものの見方ですね。

Q:「哲学」に触れることが今までなかったので、哲学が意味するものや含むものが大きすぎていまだに理解が難しいです。改めて「哲学」について教えてください。

A:「哲学」というのは僕もわけがわからないんですよ。わけがわからないところがいいんじゃないかな(笑)。だから名付けた、というところがあります。というのは、どうして人の正常細胞ががん化するか、それはまだ解明されていないんですね。わからないんです。「哲学」がわからないように、「がん」もわからないんです。

それから、がんに「哲学」をつけると、対象が医療だけではなくなるんですね。生命現象だけでもなく、社会的なことや心理学的なことが含まれてくる。そういうことを考えたくて「哲学」と付けたんですが、結果的に、これは正解だったなと思っています。

だって「がん哲学」と付けたら、いろんな人が気になってくれたわけでしょう。「がん」だけだったら気に留めなかった人たちが、「哲学」が付いたら、振りむいてくれた。この事実の重みを考えなければいけないんでしょうね。

「哲学」というのは一つには、<対話>なんです。病める人とどう接するのか、どう心を通わすのか。「がん」は人類に最後まで残る課題だろうと思いますから、それに向き合っていくのが哲学なのだろうと思っています。

〔講師の今日イチ〕「哲学というのは、僕もわけがわからない」というのが、妙に哲学的。

〔大学のココイチ〕中野校で受講。中野駅から徒歩12分くらいか。中野駅北口が2000年代中盤と比べ、ずいぶんと変わっていて驚いた。

〔おすすめ講座〕がんと生きる哲学

取材講座データ
がんと生きる哲学 医師との対話を通して「がん」と生きる方法を考える 早稲田大学エクステンションセンター中野校 2016年度秋期

2016年12月3日取材

文/まなナビ編集部 写真/Adobe Stock

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