焙煎したてのコーヒーは香りはよいが……
日本のコーヒー国内消費は過去最高を更新中だ。缶コーヒーだけでなく、チェーンカフェやコンビニなど、コーヒーを楽しむ場所も拡大している。いっぽう高価で高品質のスペシャリティーコーヒー(生産から消費までが管理され、おいしく特徴ある風味をもつコーヒー)も人気だ。しかし、高い豆を買うと気になるのが、コーヒーはいつ飲むと最もおいしいのか、ということである。
そこで、東京農業大学オープンカレッジ「ブラジルの香料・香辛料 コーヒーのおいしい淹れ方、飲み方」講座の講師、菅野匡範先生(UCC上島珈琲の営業統括本部課長)に聞いてみた。
コーヒーは焙煎仕立てが一番、と聞きますが、ペーパードリップで最初に湯を注いだとき、粉がぶわっと膨らんで泡が出るのがおいしいコーヒーなのでしょうか?
「泡が出て粉がぶわっと膨らむのは、豆が焙煎したてであるサインです。たしかに、焙煎したばかりのコーヒー豆は香りはいいけれど、味わいが薄くなりがちです。焙煎して、ある程度落ち着かせてからのほうが、コーヒーの味はしっかり出ます」(菅野先生。以下、「 」内同)
ペーパードリップは湯が落ちきる前に除くべき?
つまり、生鮮食品のように「買ったらすぐに食すのが吉」ということではないようだ。もう一つの長年の疑問が、「お湯が落ちきる前にペーパードリップを取り除かなければならない」という説である。どこかで読んで、ウン十年実行してきたのだが、これって正しかったのか?
「ペーパードリップでは、最初に酸味が抽出されやすく、湯が落ちきる最後のほうで苦味が抽出されます。つまり、湯が落ちきる前にフィルターを取れば苦味の少ないコーヒーが抽出できます。苦みが苦手な方は、お湯が落ちきる前にペーパードリップを取り除かれると良いと思います」
苦いコーヒーが好きな記者は、もしかしたら毎回慌ててフィルターを取り除かなくてもよかった? 講座の中では、ペーパードリップの効能についても解説された。ペーパードリップはコーヒーの持つ雑味を吸着する役目もしてくれるのだという。
また、絶対してはいけないのが、ペーパードリップに直接お湯をかけてしまうこと! ペーパードリップに直接お湯をかけてしまうと薄いコーヒーになるそうだ。ペーパードリップ、フレンチプレスそれぞれのおいしい淹れ方については、「ドリップとフレンチプレス。うまいコーヒー淹れる法」の記事を参照のこと。コーヒーのプロ、菅野先生直伝のおいしい淹れ方がよくわかる。
ちなみにドリップは意外に入れ方が難しく、フレンチプレスは誰が入れても失敗が少ないそう。同じ豆でいろいろな淹れ方をしてみると、自分の理想の一杯が見つかりそうだ。
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文/まなナビ編集室 写真/まなナビ編集室、(c)Sklyarov / fotolia