子育て中の心理学者が勧める 子供に「やってはダメ」を教える画期的方法

心理学者・脳科学者が子育てでしていること、していないこと

子育ては喜びも大きいがストレスも大きいもの。とくに社会全体が神経質になっている現代では、「それをしてはダメよ」という場面も多い。しかし、やっていいことと悪いこと、遊びといたずらの区別がまだまだつかない子どもはなかなか言うことを聞かないことも多く、思わず手をあげたくなることもあるだろう。自らも子育て中の心理学者、杉山崇先生は、そんな時にぴったりの、ある方法を提案する。

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「子育ては試行錯誤の連続です」と語る杉山先生

子育ては喜びも大きいがストレスも大きいもの。とくに社会全体が神経質になっている現代では、「それをしてはダメよ」という場面も多い。しかし、やっていいことと悪いこと、遊びといたずらの区別がまだまだつかない子どもはなかなか言うことを聞かないことも多く、思わず手をあげたくなることもあるだろう。自らも子育て中の心理学者、杉山崇先生は、そんな時にぴったりの、ある方法を提案する。

子どもが危険なことばかりするのはなぜ?

子どもはなぜ危険に見えることばかりをするのだろう。真っ暗な戸棚の中に入り込んだり、機械に指を突っ込んだり、子育て中の母親はつねに目が離せない。

「それは少しでも学習チャンスを増やすために行動のアクセルが全開になっているからです。大人から見ると危なくてやってはいけないことでも、子供にとっては、世界と自分について学ぶためにしていることなのです」と言うのは、神奈川大学人間科学部教授でメディアへの出演も多い心理学者、杉山崇先生だ。

杉山先生自身も子育て中で、やってはいけないことばかりをする子どもにうんざりすることもあるという。でも「やっちゃダメ!」ときつく言った方がよいのか、悪いのか。

「やってはいけないということを教えたい、でもまだその理由が理解できないし、手を叩いたりといった体罰は使いたくない、という親御さんにぜひおすすめしたいのが、“こちょこちょ”です」

“こちょこちょ”の罰、4つのポイント

“こちょこちょ”とはくすぐることだ。脇や足裏など、自分でこすっても別にくすぐったくないのに、人にされるとくすぐったくてたまらない。つまり“こちょこちょ”とは、他人の存在を強く意識させられる行為なのだという。

やってはいけないことをした時に、こちょこちょくすぐる。ちょっとだったら笑って終わりだが、少し長く続けると、これが結構なストレスになる。

「“こちょこちょ”は短ければスキンシップやコミュニケーションになりますし、ある程度長く続けると、手ごろな罰にもなります。体へのダメージもないので、やってはダメを教えるのに最適です」

ポイントは以下の通り。

(1)事前に「やってはダメ」なことを決めておく。

(2)「やってはダメ」なことをしたら、すぐに“こちょこちょ”の罰を与える。

(3)“こちょこちょ”の罰は、慣れていない子の場合は3秒程度、何度かしたことのある子は5秒程度。

(4)やりすぎると効果が薄れるので効果的に。

このポイントを守って続けると、やってはダメなことをした時、“こちょこちょ”の手つきをしただけで、止めるようになるという。

杉山先生は、脳科学と融合した次世代型のサイコセラピーを研究する立場から、心や脳の科学者が最善と考えて実行している子育てメソッドをもっと多くの人に知ってほしいと、このたび『心理学者・脳科学者が子育てでしていること、していないこと』(主婦の友社刊)を刊行した。

最新の科学的知見に基づき明らかにされる、育児でやったほうがいいこと、やってもあまり効果がないことなどがテーマごとに配されている。

とくに面白いのが第4章「心理学者・脳科学者が夫婦関係でしていること・していないこと」。なかでも「していないこと」が秀逸。そのひとつが「子育ても家事も夫婦で役割分担制にする」こと。「なぜ役割分担制NG?」という人は、ぜひ本書を読むことをおすすめする。人間心理の綾を見る思いがするはずだ。

取材・文/土肥元子(まなナビ編集室)

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