スマホ時代の図書館は「なぜなのか」を考える場に

千田稔奈良県立図書情報館館長に聞く【スマホ時代の図書館】

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奈良県立図書情報館

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逆回りしたお客さんが怒ったことも

―ほかにはどんなイベントを?

千田:開館2周年には、ファッションショーもやりました。地元の素材を使ってちょっと独特の衣裳を作る若い人がいてね、天平時代のファッションを作ってもらって階段を舞台にしてショーをしました(2007年11月3日「tribute to光明 Fashion Show」)。司書もモデルとして出ましたよ(笑)

館内のあらゆるところを使ってお芝居をしたこともありますね(2008年劇的☆めくるめく図書館~ならノれきしデたわむれロ」)。面白いのはね、普通のお芝居と違って、お客さんが別の場面を見に歩かなきゃいけないんです。同じ場所では同じ演技を延々つづけてて、お客さんのほうが動いて見て回る。こんな実験的なお芝居をしてくれたのは、「カムカムミニキーナ」という早稲田大学の学生・OBを中心とした劇団。主宰の松村武さんが奈良県出身だという縁で。お客さんの中には逆回りしちゃって「ストーリーがわからないじゃないか」と怒り出す人もいたけど、お芝居を逆さに見るなんてめったにない体験ですよね。それから、力を入れているのは、学び直し。

―どのような学び直しなのですか?

千田:ずっと継続して行っているのは、「図書館劇場」と銘打った講演会です。また、昨年から学び直し講座「図書館学校」というのを始めました。高等時代の教科を学び直そうというものですが、数学なんて人気がありますよ。本当の高校みたいに修了証も出すことにしました。

―なぜ今、学び直しを?

千田:今は、「なぜそうなのか」を考える時代だと思います。図書館は知識を情報発信する場所です。しかし読書というのは孤独だし、一方通行。学び直し講座なら、そこに先生や仲間がいて、質問したり、ほかの人の考えと自分の意見を比べることもできる。そういうことが求められているんですよ。

今はスマホの時代だということを、図書館も忘れちゃいけない。昔は知識を得れば人間は立派だといわれていた。でも今はスマホでかなりの部分まで補える。どう考えるかが問われる時代なんです。だから、リアルな現場で学び直しをやろう、と。

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