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SB55民俗学の旅- 宮本常一とあるいた昭和の日本 九州・沖縄編② -|龍谷大学龍谷エクステンションセンター|須藤護

講義詳細
講座名
SB55民俗学の旅- 宮本常一とあるいた昭和の日本 九州・沖縄編② -
大学
龍谷大学龍谷エクステンションセンター
キャンパス
瀬田キャンパス
概要
人生の多くを旅に費やした宮本常一は、「日本人は旅好きであるというけれど、旅にもっと知性が要請されていいし、もっと自由にあるき、ものを見、ものに触れ、そして静かに考える機会を持ってよいのではないか」と述べています。参考図書としてあげた『あるくみるきく双書』は、宮本民俗学に傾倒した当時の若者たちが、宮本の指導を受けつつ自らの足で全国をあるいた記録です。その記録は昭和40年代初めから20年間にわたりました。折から、経済成長、大量生産、大量消費時代のただ中にあり、古くから継承されてきたものや習俗がまたたく間に消えていった時代でした。本講座では当時の旅の記録を底本にして、失われていった数々のものを見つめ直し、静かに考え、日本人の履歴をたどる作業をしたいと思います。今回は前回に引き続き、九州・沖縄の旅をとりあげます。
講座日程
(1) 10月3日(火)
奄美の祭りと信仰(ショチョガマと平瀬マンカイ・鹿児島県)
奄美大島という風土の中で生まれた代表的な年中行事をとりあげる。いずれも海の彼方からやってくる穀霊を迎える行事で、9月に行なわれる。前者は男性中心の儀礼で山手、後者は女性中心の儀礼で海がその舞台になる。
(2) 10月17日(火)
日向国・米良山の生活誌(宮崎県)
奥深い九州山地で焼畑、狩猟、採集等を生業としてきた人びとの暮らしを掘り下げていく。とくに狩猟習俗にみられる山の活用と信仰、この地方の特色である神楽の中にも狩猟を主題とした題目があり興味深い地域である。
(3) 10月31日(火)
犂耕を広めた人びと(熊本県・福岡県)
日本の農耕の歴史を探っていくと、人力による耕作が主力であって鍬や鎌に頼ってきた部分が大きい。しかし近代に入ると稲作の先進地である北九州において、大陸型の長床犂と朝鮮半島型の無床鋤の特徴を生かした近代的短床犂が誕生する。馬耕教師の活動により、この犂が全国的に普及していく過程を追う。
(4) 11月14日(火)
ものと暮らし(沖縄県・鹿児島県など)
沖縄や南九州で日常的につくられ、使用されてきた民具や工芸品をとりあげる。主に織物、染物等の衣文化、南日本に特徴的にみられる食文化や住文化、そして漁撈と農耕等の生業のために使用してきた民具類が中心になる。いずれも地域に根差した特性を備えている。
(5) 11月28日(火)
遥かなる隼人たち(鹿児島県)
日本列島の西側には対馬海流、東側には黒潮が流れている。この流れに乗って南の方からやって来た文化は、南西諸島を経て南九州にたどり着いたのではないか。熊襲、隼人、石橋、焼物、サツマイモ等を通して、南九州の人びとが、南方や西方からの文化をいかにして受け入れてきたかを考える。
(6) 12月12日(火)
糸満の海(沖縄県)
糸満は沖縄県の最南端に位置する。その名は地名であるが、奄美、沖縄の人びとはその言葉を海民の代名詞のように使ってきた。糸満の海民たちはサバニという船を操って大海に乗りだし、深い海から浅い海に魚を追い上げて漁獲する追い込み漁という勇ましい漁に従事してきた。糸満の海民の国内や海外への出稼ぎ漁に関しても言及していく。
【参考文献】
宮本常一ほか 著 『あるくみるきく双書「宮本常一とあるいた昭和の日本」 1(奄美沖縄)、2九州①、3九州②』 農山漁村文化協会
※上記の書物をお持ちの方は、あらかじめ読んでおいていただけましたら理解がより深まるのではないかと思います。
受講対象者:特に制限はありません。
会員価格
7,380円
一般価格
11,100円
講座期間
2017/10/03~2017/12/12
開講時間
11:05~12:35
曜日
講座回数
6回
定員
40人
講師名
須藤護
講師概要
龍谷大学名誉教授
現在のテーマは日本の近代を支えた民衆の暮らしを聞き書き等によって記録していくこと。滋賀県、奈良県、和歌山県など、近県を中心に小旅行を続けている。主な著書は『木の文化の形成―日本の山野利用と木器の文化』『ふるさと山古志に生きる』『雲南省ハニ族の生活誌』など。
住所
滋賀県大津市瀬田大江町横谷1−5
アクセス
JR「京都」駅から米原方面へ「瀬田」駅下車、バス約8分
申込

日時の変更もありますので、開講情報は必ずこのページの大学HPからご確認ください。

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