Q 平均的な高齢夫婦世帯の1カ月の支出はどのくらい?
① 35万円
② 27万円
③ 22万円
毎月の赤字はいくらあるかを把握
すでに定年を迎えた60代以上の世代の方は、これからの老後のお金について不安を感じている人も多いでしょう。今回は、60代以上の方が今後の老後資金をどう備えていくかがテーマです。
50代以下の現役世代は、これから老後に向けて貯めることができますが、60代以上の年金世代は、年金からの貯蓄はなかなか難しいと言えます。それ以外の方法で老後のお金を確保していきましょう。
現在、わが家で1カ月どのくらい使っているか知っていますか?
家計簿をつけている人は、集計して支出額を出すといいでしょう。つけていない人は、銀行口座の残高が1カ月でどのくらい減っているか、増えているかを見れば、ある程度把握することができます。ちなみに、総務省の『家計調査年報(平成28年)』によると、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の家計の支出合計は、月額26万7546円。
答えは②でした。
次に、収入を合計してみます。年金収入に、働いている場合は給与収入、不動産を持っている場合は不動産収入などをプラス。支出額と収入額を比べてみて、収入額が上回っている場合は、その分貯蓄が増やせます。しかし、この年代で貯蓄額を増やすことはなかなか難しいもの。たいていの家庭は支出額が上回り、足りない分を貯蓄から回しているのではないでしょうか。
そして収入から支出を引いて、毎月いくらの赤字があるかを把握します。それから、現在の貯蓄額を毎月の赤字額で割れば、あと何年何カ月で貯蓄が尽きるか計算できます。その期間があと30年、40年とあればいいのですが、そうでなければ何か対策を考える必要が出てきます。
家計を改善する方法は主に2つ。収入を増やすか、支出を減らすかです。
何か収入が得られる方法がある人もいるかもしれません。働いている人はできるだけ働く期間を伸ばすことを検討することになるかもしれません。
支出を減らすには、ムダな支出がないかチェックすることです。これにより、収支を改善させ、貯蓄が減るペースを遅くさせることが目指せます。
増やそうとしても損をすることも
60代以上で働かずにお金を増やすには、今持っているお金を運用するしかありません。ところが、投資の場合は確実に増えるものばかりではありません。損をすることもあります。
しかし、なかなか自分だけで選ぶのは難しいもの。だから、信頼できる的確なアドバイスをしてくれる人がいるのが望ましいでしょう。できれば、身内など近しい人でお金のことがわかる人に相談するなど、運用する際は騙されたり損をしたりしないように気をつける必要があります。
保険も上手に使いましょう。大病をしたり認知症になったときのお金を現金で備えておくとなると、そのお金はそうなるまで使えないお金になります。この部分は保険で備えておけば、手元にあるお金は使っていいという判断ができます。
また、自宅を担保に銀行からお金を借りるリバースモーゲージという仕組みがあります。自宅に住みながら老後資金に使う融資が受けられ、契約者が亡くなったあとに相続した人が融資を受けた分を返すか、自宅を銀行に引き渡す形で精算できるというものです。自宅を引き継ぐ子どもがいない場合などに活用できます。
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アドバイス:志村直隆(ファイナンシャルプランナー/がん治療コンサルタント/2017 MDRT終身会員)
取材・構成:生島典子(フリーライター) イラスト:とげとげ。