男性のもつ動物の部分を利用して上手に錯覚させる
まず出た質問が、「夫に飽きられないためにはどうしたらいいでしょうか」というもの。
杉山先生はこう語る。
「男性は子供が産めないでしょう？ だからとにかく自分の遺伝子をできるだけ多く残そうとするんです。そのため本能的には、次々いろいろな女性に目移りするように作られています。一人の女性にずっと飽きがこないというふうには作られていないんです。だからその性質を逆手に取りましょう。
進化心理学的アプローチとしては、『違う女性であるかのように見せる』ことです。『ルパン三世』の峰不二子、男性に人気ですよね。あの完璧な変装技術は男のあこがれです。峰不二子ほどとはいかなくても、髪型を変える、メイクを変える、服装を変える。夫が忘れた頃を狙ってこれを一定のサイクルでやる。こうして夫をうまく錯覚させてしまいましょう」
うまくおだてて王様気分に
「また、男性は総じて王様や王子様気分が大好き。これは男性が小さい時に母親になんでも面倒を見てもらったことから、それが自分とこの世界とのデフォルト状態だと勝手に思いこんでしまっていることに関係しています。これが女の子だと、ある時点で『母親みたいにできるようにならないといけない』という母親をライバル視する部分が出てくるのですが、男の子はそうはなりません。だからうんとおだててください。
それを利用したシステムが、キャバクラです。そういう気分を味わえることに3万5万、時に10万くらい惜しげもなく使ってしまう。こうした商売が成り立つことを見ても、そういう王様になりたいマインドを持った男性がいかに多いかがわかると思います」
思う相手がいるだけで愛情は増えていく
ここまでは夫にとって都合のいい話。しかし妻だって胸キュン体験をしたいはずだ。もちろん夫婦円満で、夫にときめいていられるなら最高だろう。でも時には別の相手にときめきたい。今年イヤというほど聞かされた「一線を越える」不倫とまではいかなくても、胸キュン感情は、人を豊かにするのか、しないのか。
「人間の愛情は、消費されていくのではなく、愛情を向ける対象が増えるに応じて増えていくと言われています。しかしそれも、恋の仕方によります。すべてを捨ててでも、恋する相手に没入したいとなると、心が豊かになるというよりは、逆に狭くなってしまいます。しかし、恋がまたひとつ増えた、という感覚で増やしていけば、どんどん心は豊かになるでしょう。
しかしこれはもう、恋というより愛ですね。愛というのは、その何かを大切にしたい。その何かがこの世に存在することでそれだけでハッピーになれるという、広く深く大きなものです」
◆取材講座：メンタルヘルス・マネジメント講座「大人の人間関係論」vol.5「不倫の境界線」（神奈川大学みなとみらいエクステンションセンター／KUポートスクエア）
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取材／辻本幸路 文／まなナビ編集室 写真／(c)kelly marken/fotolia