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認知症予防の観点から、よいとされる油は次のうちどれ?

Q 認知症予防の観点から、よいとされる油は次のうちどれ?

a オリーブオイル
b バター
c ドコサヘキサエン酸(DHA)

認知症予防の関心の高まりとともに、最近、「認知症予防食」と呼ばれるものが注目を集めています。食生活の傾向と認知症の発生率に相関関係があることがわかってきたのです。

予防効果ありと考えられる食材は、野菜や魚介類、海藻類、大豆製品、乳製品などです。これらを継続的に食べている人たちは、あまり食べない人たちよりも認知症の発生率が30%も低いという研究結果があります。

栄養成分から見て、認知症予防に効果があるのは「不飽和脂肪酸」と「ポリフェノール」です。不飽和脂肪酸とは常温で液体状の油です。

オリーブオイルをはじめゴマ油、ナタネ油、コーン油、シソ油などがあります。いわゆるサラダ油も液体ですから不飽和脂肪酸です。中でも動脈硬化や心臓疾患などの予防にもよいとされ、家庭の調理用油としてよく使われているのはオリーブ油ですね。

また、イワシやアジなど青魚に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)も不飽和脂肪酸です。DHAとEPAは“頭をよくする”などと注目されましたが、これは脳の神経細胞を維持する作用があると考えられるからです。

答えはaとcです。

飽和脂肪酸は常温で固体の脂です。バターやヘッド(牛脂)、ラード(豚脂)などです。ということで、認知症予防の観点からは、タンパク質は肉類より大豆類、魚介類から摂取したほうがよい、ということになりますね。もちろん、お肉を食べることも大切。魚ばっかり、大豆ばっかりでもいけません。バランスよくいろいろな食材を食べることを心がけてください。

ポリフェノールは赤ワインで有名ですね。赤ワインのほか、お茶や大豆、大豆、チョコレートなどに多く含まれています。こうしてみると大豆食品は認知症予防食として優秀ですね。

(ひとくちメモ)◎認知症は遺伝性?
アルツハイマー型認知症の遺伝性認知症はきわめて希な病気で、全認知症の0.001パーセント以下と推測されます。ほとんどの認知症の発症は遺伝よりも生活習慣に大きく左右されると考えられます。

(「認知症、ならないために」は毎週日曜15:00更新予定)

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■監修■伊古田俊夫
いこた・としお 1949年生まれ。1975年北海道大学医学部卒。勤医協中央病院名誉院長。脳科学の立場から認知症を研究する。日本脳神経外科学会専門医、認知症サポート医として認知症予防、認知症の地域支援体制づくりに取り組んでいる。著書に『40歳からの「認知症予防」入門』(講談社)など。

[伊古田先生からのメッセージ]→「認知症予防とは、認知症を『先送り』することです」
認知症を「予防する」ということは、「一生、認知症にならない」ということではありません。認知症の原因は、今もわかっていないからです。確かなことは脳の老化だということ。ですから認知症を100%予防することはできませんが、発症する年を「遅らせる」ことはできます。いわば認知症の先送り。これが予防策をみなさんに広く知ってもらいたいと願う理由です。

文/佐藤恵菜 イラスト/みやしたゆみ