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知ってた?あの超有名国宝仏の頭上に超ユルい仏像が!

ン『週刊ニッポンの国宝100』13号「国宝原寸美術館」より

ファッションモデルもかくやと思うほど、細ーく高ーい仏像が、国宝「百済観音」(法隆寺蔵)だ。高さは2m超、側面から見ればS字曲線を描く優美な立ち姿。エキゾチックで静謐な微笑みをたたえる百済観音は、パリ・ルーブル美術館で公開された折には「東洋のヴィーナス」と称賛されたという。でも、知らなかった、冠の上にあんなユルい阿弥陀仏がいたなんて……。

優美このうえない百済観音の冠の真ん中に……

日本の誇る国宝を次々と紹介していく、『週刊ニッポンの国宝100』(小学館刊)。その13号「法隆寺百済観音・那智滝図」のp10-11を見て驚いた。

ひそやかな微笑を浮かべるそのお顔の上に置かれた冠の真ん中に、「誰の描いたヘタウマですか?」と聞きたくなるような阿弥陀さまが鎮座していたからだ。

それが下の図だ。

……明治44年(1911)、法隆寺の土蔵からひとつの宝冠が発見されました。宝冠の中央には阿弥陀の化仏がひとつ。そしてなんと、その宝冠はぴったりと「百済観音」の頭上に収まりました。(中略)植物文様が線彫りで施された宝冠は、銅板で製作されています。中央と左右にひとつずつ、3つの青いガラス玉が飾られていますが、これは法隆寺夢殿の秘仏「救世観音」にも共通する装飾です。そしてその中央のガラス玉の上には、この像を観音たらしめた化仏の阿弥陀が繊細な透かし彫りで表現されています」(『週刊ニッポンの国宝100』p10-11解説)

と、マジメに解説されればされるほど、この阿弥陀さまの醸し出すマッタリ感が気になってしかたがない。

『週刊ニッポンの国宝100』第13号ではこの縦寸3センチにも満たない阿弥陀さまが原寸で見られる。こんなチャンスはめったにないゾ。

優美このうえない百済観音の冠の真ん中に……

ところでこの「百済観音」、江戸時代までは「虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)」と呼ばれ、明治期の法隆寺の目録では「朝鮮風菩薩像」と記載されていたそうだ。

では「百済観音」という名はいつ頃つけられたのだろうか。

記録にあらわれたのは、大正6年(1917)に発行された『法隆寺大鏡』(第40集)の紹介文が最初だという。その後、哲学者の和辻哲郎が名著『古寺巡礼』の中で「……わが百済観音が、縹渺(ひょうびょう)たる雰囲気を漂わしてたたずむ……」と記したことから、「百済観音」の名が広く親しまれるようになったという。意外に新しい呼び名なのだと、またまたびっくり。

最後に、その雰囲気が最も味わえる側面からの姿を掲載しよう。頭頂部から肩にかけての流れるようなライン。肘から垂れる天衣の下端は前方にくるりと翻るようにカーブし、重力を感じさせない。

まさに「縹渺」たる(果てしなく広がる)仏像だ。

『週刊ニッポンの国宝100』13号「国宝名作ギャラリー」

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文/まなナビ編集室 写真協力/小学館