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睡眠を妨げないために、お酒は寝る何時間前までに飲む?

お酒を飲んで寝入るのは気持ちいいけれど…… (c)Sabphoto/Fotolia

Q 睡眠を妨げないために、お酒を飲むなら寝る何時間前までに?

A 寝る直前に飲む
B 寝る2時間前までに飲む
C 寝る4時間以上前までに飲む

寝酒(ナイトキャップ)はとても気持ちがよいですね。少量のお酒を飲むとウトウトしてきてよく寝つける、という方も多いと思います。

ところがこれが大問題。お酒を飲むほど眠りが浅くなるのです。早稲田大学人間科学学術院で睡眠を研究する岡島義先生は、睡眠がどれくらい浅くなるのかを、下のグラフで説明します。

お酒の睡眠に与える影響(『4週間でぐっすり眠れる本』より)

「お酒を飲むと、寝つきがよくなるように感じますが、じつは中途覚醒を招きやすいのです。中途覚醒とは夜中に途中で目が覚めてしまうことです。

アルコールでウトウトするのは、アルコールを摂取したことで血管が拡張して体温が下がったり、アルコールの麻酔作用によって引き起こされるものです。お酒に弱い人ほど眠くなる傾向があります。

しかしアルコールが分解されて発生するアセトアルデヒドは覚醒度を高めるので、浅い眠りになってしまうのです。

お酒を飲むのは就寝の4時間前までに済ませておいたほうがよいでしょう。できれば飲酒から就寝までは6時間くらい開けたほうが無難です」

ということで、正解はCです。

よい睡眠のためにやってはいけない飲酒習慣

●就寝の4時間以内にお酒を飲むのは止めましょう。中途覚醒を引き起こし、眠りが浅くなってしまいます。

●アルコールは耐性がつきやすいので、毎日飲んでいると、徐々に量が増えてしまいます。お酒に酔わなくなったからと量を増やすのはやめましょう。

お酒を飲まないとどうしても眠れないという人は、できるだけ早く睡眠専門のクリニックを受診したほうがよいでしょう。

就寝前の喫煙もNG

さらに、喫煙にも注意が必要です。煙草は少量のお酒と同じくリラックス効果がありますが、吸い終わった直後から覚醒作用に変わります。

よい睡眠のためには禁煙するのが一番よいのですが、どうしても煙草がやめられない人は就寝の数時間前には吸わないようにしましょう。

◎この記事は、岡島義(おかじま・いさ)先生(早稲田大学人間科学学術院助教)の著作『4週間でぐっすり眠れる本─つけるだけで不眠が治る睡眠ダイアリー』(さくら舎刊)をもとに、岡島先生へのインタビューを交えて構成しています。岡島先生がNECソリューションイノベータと開発したスマートフォンアプリ「睡眠日誌」も無償で提供されていますので、ぜひ本を見ながら睡眠記録を取りましょう。

岡島 義(おかじま・いさ)
早稲田大学人間科学学術院助教 臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー
1979年東京生まれ。日本大学文理学部心理学科卒業、北海道医療大学大学院心理科学研究科博士課程修了。博士(臨床心理学)。公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター研究員、同研究所附属代々木睡眠クリニック心理士、東京医科大学睡眠学講座兼任助教、医療法人社団絹和会睡眠総合ケアクリニック代々木主任心理士等を経て現職。睡眠障害や気分障害、不安症を認知行動療法により改善する研究を行っている。著書に『4週間でぐっすり眠れる本』(さくら舎)、共著に『認知行動療法で改善する不眠症』(すばる舎)、『不眠の科学』(朝倉書店)。NHKスペシャル 「睡眠負債が危ない~“ちょっと寝不足”が命を縮める~」を始め睡眠番組への出演も多数。

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取材・文・写真/まなナビ編集室(土肥元子)