「多くの女性」ではなく「85%以上の女性」
「プロセス指向共感型」の女性脳と、「ゴール指向問題解決型」の男性脳。大量の製品を均一な品質で迅速に流通させるためには男性脳型の進行処理がピッタリであり、産業界ではもっぱら男性脳型が主流だった。
ビジネスシーンで女性脳型は常にアウェイであり、そのため誤解やトラブルは尽きなかった。だが、前回「上司から否定されてもめげずに受け止めるには」で紹介した「頼り返しの術」と同様、対処する手立てはいくつかある。
黒川先生はその具体的な方法を語った。
たとえば、「ゴール指向問題解決型」の男性脳には、まず結論を述べ、その根拠を続けることが効果的だ。
その時も「ポイントは3つです」などと数字を用いるのがコツ。「多くの女性」ではなく「85%以上の女性」などと表現する。
結論がわかり、数字の裏付けがあると、男性脳は安心して聞くことができるからだ。
そのほかにも、たとえば、秩序を乱す行為を慎むなど、男性脳の特性から理論的に「こうすればいい」という方法が提示された。
「デキる女」と思わせるのには、脳科学的にも説明できるさまざまな方法がある。このことを知っておくだけでも、職場で、取引先で、余計なことにわずらわされずにスムーズに仕事を遂行できる。
最後に、黒川先生は究極の方法を教えてくれた。
「被害者意識を持つのではなく、むしろ加害者として相手を不憫に思ってしまったほうが楽」。
男女の脳差を理解し、時には利用して、戦略的に行動する。「デキる女」の真骨頂はここにあるようだ。
〔講師profile〕黒川 伊保子(くろかわ いほこ)●(株)感性リサーチ代表取締役。人工知能研究者/脳科学コメンテイター、随筆家、日本感性工学会評議員。脳科学の見地から「脳の気分」を読み解く感性アナリスト。大塚製薬「SoyJoy」のネーミングなど、多くの商品名の感性分析に貢献している。宣伝会議のコピーライター講座で講師も勤める他、「男女脳差理解によるコミュニケーション力アップ」を目的とした講座も人気。
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〔講演中の今日イチ〕 被害者意識を持つのではなく、男性を不憫に思ってしまったほうが楽
取材講座データ | ||
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男女脳差理解と感性マーケティング | 明治大学リバティアカデミー | 2016年秋講座 |
文/本山文明 写真/黒川伊保子先生、(c)Tom Wang – Fotolia