なぜ女性はコトの顛末から話し始めるのか
あるプロジェクトでクライアントとのトラブルが起きた。いったい何が原因なのか、男性上司が女性部下に報告を求めたところ、女性部下はコトの顛末を最初から最後まで一気に話し始め、上司は途中でその話を遮ることもできなかった……そういう経験をしたことのある男性上司は少なくないだろう。これは、女性脳が「プロセス指向共感型」であるからだ。
プロセス指向共感型女性脳は、プロセスすべてをしゃべらずにはいられない。最初から最後までの顛末をひたすらしゃべりながら、その裏側ではすさまじい勢いで演算を働かせる。そして、しゃべっている間に真理や結論や解決法が見つかり、時には自己反省もする。
すべてをしゃべりつくした女性部下は立ち直り、満足して立ち去る。その後には、呆然として立ち尽くす男性上司の疲れ果てた姿がある。
なぜ男性は結論から話し始めるのか
これに対して、結論から話し始めるのが男性だ。クライアントとのトラブルならトラブル解決の方法、企画提案なら企画の目的と達成目標、といった結論が先にあり、そこから前倒しする形で話の全体を構成する。「ポイントは3つです」などと、言うべきこともあらかじめ明確に示される。 こうした男性脳は「ゴール指向問題解決型」と言えるだろう。
話の目的が初めからはっきりとしているゴール指向問題解決型男性脳の上司が部下に求めるのは「結論」だ。プロセス指向共感型女性脳の部下がどれほど長い時間をかけて説明しても、「いったい何が言いたいのか」と頭ごなしに否定するか、聞いているだけでくたびれてくるか、だ。
そして、上司と部下の間には不穏な空気が流れる。
「そこなんですよ、部長。どうしたらいいと思いますか?」
こうなると不満を持つのは部下だ。
「言葉を尽くして説明しているのにわかってくれない」
「こちらの話を聞かずに、話のポイントは何かとか、提案内容のここが弱いとか、弱点ばかり突いてくる」
しばしば女性部下はこうした不満を抱きがちだ。これに対して、「否定をされたのではないのです。提案内容がよかったからこそ、この弱点を何とかしていち早くゴールを目指そうじゃないかと認められた。そう受けとめましょう」と、明治大学の「男女脳差理解と感性マーケティン男女脳」講座で語るのが、感性リサーチ代表取締役社長・黒川伊保子氏だ。男性上司の否定的態度を、そのように前向きに受けとめることは、女性にとって職場での”マナー”でもあると言う。
「でも、うまい対応が見つからない」という女性にお勧めたいのが、『頼り返しの術』だ。
「ここが弱いんだよ」と言われたらすかさず、「そこなんですよ、部長。どうしたらいいと思いますか?」と切り返す、これが『頼り返しの術』。
女性から頼られて、男性として悪い気はしないが、この効用はそればかりではない。命題を与えられると、とたんに脳が働き始めるのが、ゴール指向問題解決型男性脳の宿命だ。『頼り返しの術』は、こうした男性脳の特徴を逆手に取る手立てなのだ。
「それはお前の仕事だろう」と言われても、「ですよねー。がんばります」と答えて引き下がればよい。それであなたの提案が通ったということになるのだから。
〔あわせて読みたい〕
転びそうで転ばなかった話をするのが女、転んだ話をするのが男
10の質問すべてにYESと言える男なら不倫で幸せになれるかも
ある感覚の欠如が40才からの会社人生を地獄化する
◆取材講座:「男女脳差理解と感性マーケティング」(明治大学リバティアカデミー)
文/まなナビ編集室