早期で見つかれば100%に近い生存率
「がんはステージ0~Ⅳ期まであります。乳がんの場合、早く見つかったステージ0やⅠ期は、ほぼ100%に近い生存率です。そのため、乳がんは早く見つかれば治る可能性のあるがんなのです。早期発見には検診が必要です」(猪狩先生)
どの検診が効果的であったかはデータ化され、それに基づいて各自治体が検診方法を決めている。乳がん検診には、視触診・マンモグラフィー・超音波といった検診方法がある。それぞれメリットが異なるという。
月経が始まってから7日目以降が乳がん検診に最適
乳がん検診には至適時期があるという。
女性は、月経周期に伴う女性ホルモンの変動があり、乳腺組織にも変化をきたす。
「排卵後、黄体期にかけて、エストロゲン、プロゲステロンという女性ホルモンが一番高い時期になります。これらのホルモンの作用によりこの時期、女性の中には胸の張りや痛みを感じる方もいらっしゃると思います。ですから月経が始まって7日目以降、乳腺の張りが落ち着いた時期が、乳がん検診には最適の時期です」(猪狩先生)
年代で異なる効果的な検診方法とは
「20歳代の乳がん罹患率は1%未満です。少なくとも20歳代のうちは画像検査を用いた検診よりも自己触診をお勧めします。
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40歳代の日本人女性を対象とした超音波併用検診の比較試験“J-START”の結果を踏まえると、(30歳代半ば~)40歳代の方は超音波検査併用を検討、50歳代以降はマンモグラフィーを優先して受けるとよいでしょう。ただし家族歴が濃厚であるようなハイリスク症例だったり、高濃度乳房の方、また前回の検査で病変の指摘があって『経過観察をしましょう』と言われている方は、それぞれのクリニック等での指示に従ってください」(猪狩先生)
検診を受けるからには、自身に合った最も効果的な方法を選ぶべきだろう。マンモグラフィーも超音波検査も利点と欠点がある。
マンモグラフィー・超音波検査の利点と欠点
「石灰化という白い点々で見つかる乳がんがありますが、マンモグラフィーはそういった石灰化病変の検出に有用な検査です。放射線の被曝がありますが、その値は、胸部レントゲンよりも低い値です。しかし放射線に誘発されてがんになる可能性も否定はできません。
一生の間に累積される被曝量が多くなったり、検査の間隔が短いと発がんリスクが上がります。そのため、1年に何回も受ければよいというものではないという認識が必要です。一方超音波検査は放射線被曝の心配はありませんが、悪性を疑うような微細な石灰化はわかりにくく、小さなしこりや良性病変の描出を得意とします。両方の検査の利点や欠点を理解することが大切です。
明らかに硬いしこりが触れて、不安な方は検診を受けずに外来にいらしてください。科学的根拠が証明されている40歳以降の検診受診は推奨されますが、ハイリスクでない若年女性の過剰な検診受診は、微量ですがマンモグラフィーの被曝もありますし、過剰な検査や治療を招く可能性、受診者の不安などといった心理的影響をもたらすデメリットもあることを理%E