美肌に影響大のビタミン・パワー
「美肌に絶対大事なのはビタミン!」と力説するのは、龍谷大学農学部教授で管理栄養士の資格を持つ中村富予先生。中村先生が講師を務める龍谷大学の公開講座「美肌づくりの栄養学」は、美肌をテーマに栄養学を学び、講座の後半は美肌に効く料理を作るという美肌尽くしの講座である。
「ビタミンが不足すると、肌が荒れたり、ニキビができやすくなったりします。体内で生成できないビタミンは、必ず食事から取らないといけません」と中村先生
ビタミンには脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがある。
脂溶性ビタミン:ビタミンA、D、E、K
水溶性ビタミン:ビタミンB1、B2、B6、B12、葉酸、ナイアシン、ビタミンCなど
水溶性ビタミンは取りすぎても尿や汗とともに排出されるが、脂溶性ビタミンは体に蓄積されるため過剰摂取で副作用が出ることもあるので注意が必要だ。これらのビタミンの作用を中村先生の分かりやすいアドバイスと共に紹介する。
ビタミンAは皮膚の健康を保つ
「ビタミンAは視力や皮膚の健康を保つはたらきをします。また、抗酸化作用があり、生活習慣病の予防やがん予防にもなります。ビタミンのなかでも皮膚の健康を保つのに必要な栄養素です。緑黄色野菜に含まれるイメージが強いですが、レバーやウナギにも多く含まれています。ただレバーにはビタミンAが多量に含まれているので、週1回以上は食べないようにしましょう。とくに妊婦は過剰摂取で奇形を生じる可能性があるので摂りすぎないように。ただし体内でビタミンAに代わるベータカロテンは必要量しか吸収されないので過剰摂取の副作用はありません」(中村先生。以下「 」内同)
特に多く含まれる食品:レバー、ウナギ、緑黄色野菜など
ビタミンB群はたんぱく質や脂質、糖質の代謝をスムーズに
「ビタミンB群は皮膚や粘膜の健康維持に役立ち、代謝を助ける補酵素のはたらきをします。この代謝がうまくいかないことが、肌荒れやニキビの原因になります。ビタミンB1は糖質の代謝に、ビタミンB2は脂質の代謝、ビタミンB6、ナイアシンは糖質・脂質・タンパク質の代謝に必要で、これらは皮膚や粘膜を健康に保つ役割をします。ビタミンB2が不足すると口角炎や口唇炎になりやすくなります。また、ビタミンB12はタンパク質の代謝やDNAの合成に必要で、不足すると巨赤芽球貧血という特有の貧血になるので、気をつけましょう。また、お酒を多く飲む人は不足しがちになるビタミンB1を含む食べ物を取るとよいでしょう」
特に多く含まれる食品:豚肉、ウナギ、レバー、鮭、大豆、卵など
ビタミンCはコラーゲンの合成に不可欠
「細胞と細胞を結びつける接着剤のような役割をするコラーゲン(たんぱく質)を合成するのに不可欠なものがビタミンCです。その結果、皮膚や粘膜の健康維持をしてくれます。また、抗酸化作用も強く、風邪などの感染症予防のためにも大切なビタミンです」
特に多く含まれる食品:アセロラ、いちご、ケール、ピーマン、ブロッコリーなど
ビタミンD不足を招く現代日本人の習慣
「ビタミンDはカルシウムの吸収を促進することから、骨や歯の形成を助けます。実は今、日本ではビタミンD不足が問題になっています。ビタミンDは、日光にあたることで体内で少量は生成されるのですが、最近は多くの人が日焼け止めを塗りますよね。この美肌を守るための日焼け止めの塗り過ぎが、ビタミンD不足につながるという調査結果が出ています。美肌にこだわりすぎると、今度は骨がもろくなります。1日10分位は日光にあたるようにしてください。とくに赤ちゃんの時期に日光に当たらないと、骨の形成によくありません。赤ちゃんをお持ちのお母さんは、ぜひ赤ちゃんを連れて外出しましょう」
特に多く含まれる食品:鮭などの魚介類、干し椎茸、きくらげなど
美肌づくりに効果的なお菓子をつくろう
約1時間の座学が終わると、調理学実習室へ移動。同大学農学部の岡崎史子講師、宮崎木綿子助手による、美肌づくりに効果的で、簡単なおやつ作りの実習が行われた。
作ったのは、ナッツスコーン・ずんだ餡の豆腐白玉・ヨーグルトゼリーの三品。どれも低カロリーで、ビタミンが豊富なおやつだ。最後に試食をしながら座談会が行われ、終了。受講生が質問を投げかけるなど、先生と直接語らえる楽しいひとときだった。
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◆取材講座:「管理栄養士から栄養学を学ぶ~美肌づくりの栄養学~」(龍谷大学RECコミュニティカレッジ)
文・写真/村田ゆかり