人材論・組織論の世界的権威が重視する無形資産とは
前の記事「100歳時代を生き抜くのに必須の《自己効力感》《自己主体感》とは何か」では、100歳時代の資金面についての提言を取り上げたが、今回は、お金以外の資産について。
著者の一人で、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏は、安倍政権の「100年時代構想会議」の有識者議員も務める、人材論・組織論の世界的権威だ。
そんなグラットン氏、私生活では本書執筆中に新しいパートナーに出会い、婚約。「寿命100年時代は、仕事にもプライベートにも、これまで以上に可能性がある」と語っている(リンダ・グラットン×糸井重里「寿命100年時代をどう生きる?」対談)。
実は本書でもう一つ強調されているのは、お金以外の「無形資産」の重要性である。マイホームや現金、銀行預金といった「有形資産」と同じくらい、お金には換算できない「無形資産」が大きな役割を果たすことになると著者は言う。
お金には換算できない「無形資産」の重要性
無形資産は大きく3つに分かれる。
1)生産性資産
仕事で成功し、所得を増やすための要素。仕事に役立つスキルや知識、仕事につながる人間関係や評判など。
2)活力資産
肉体的・精神的な健康と幸福のこと。心身の健康、家族や友人との良好な関係などが含まれる。
3)変身資産
新しいステージへ移行するための意思と能力。自分をよく知り、多様な人的ネットークを持ち、新しい環境に対しては開かれたマインドでいること。
これら3つをどう高めていくのかは、ぜひ本書をお読みいただきたい。なお「無形資産」と「有形資産」は完全に切り離せるものではない。有形資産があれば無形資産も増えるだろうし、反対に、無形資産を豊かにすれば、おのずと、有形資産の形成を後押しすることになる。
「お金」の心配をするより先に、来るべき100年時代に向けて具体的にすべきことが、本書を読むとクリアになるだろう。
文/まなナビ編集室