1gのために巻貝2000個。「紫色」の起源

歴史を作ったいろいろな色の物語@共立女子大学共立アカデミー

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「美しく、希少な貝紫は、高位の人物のみが身につけられる『皇帝紫』として崇められていました。19世紀中頃、マラリアの薬であるキニーネの合成実験中、たまたま紫色ができることを発見して大金持ちとなったのが、若い研究者ウイリアム・ヘンリー・パーキン。パーキンス・モーヴの人気に火をつけたのはヴィクトリア女王の着たドレスで、その後、染料が工場で大量生産されるようになって、一般大衆にまで大流行したんです」と、城先生。

今や世界中の誰もが自由に、リーズナブルに紫を着用できるのは、合成染料の発見があってこそなわけだ。

明治時代、女学生のブーム

日本における紫のあゆみはさらに面白いという。

「古くは、聖徳太子をはじめ高位の人が着用した高貴な色。平安時代には、『枕草子』など文学作品に描写され、その美しさが絶賛されました。特に『源氏物語』は、『紫の物語』と言われるほど、紫にゆかりのある作品です」(城先生、以下「」内同)

江戸時代は、喜多川歌麿の描いた浮世絵で振り返る。

「江戸のファッションは歌舞伎と遊郭が流行の発端。紫を粋に使った役者や遊女の装いから、紫がいかに江戸時代を席巻していたかがわかりますね。カラーコーディネートのセンスも抜群です」

明治時代は、鹿鳴館が建てられ、西洋文化の吸収が盛んに。

「貴婦人たちは西洋で流行った紫色のバッスル・スタイル(スカートの腰の部分にふくらみを持たせたスタイル)を真似しました。女学生の袴の色にも紫が採用されて、紫ブームが起こったようです」

 講義は、さらに多様化する現代の紫にも触れて終了。紹介される例は多く、授業は途中休憩をはさんで、2時間50分。女子大ではあるが、男性も受講できる。

〔今日の名言〕『源氏物語』から「歌舞伎の衣装」まで、昔から日本人のカラーコーディネート力は見事」

〔受講生の今日イチ〕授業時間も長いので、途中、おなかがすくことがある。休憩時間になると、顔なじみらしい10人ぐらいのグループ同士でお菓子の配り合いが始まる。

〔大学のココイチ〕終了後はやはりグループで学食に向かっていた。男性も利用可。

〔おすすめ講座〕歴史を作ったいろいろな色の物語(後編)

取材講座データ
歴史を作ったいろいろな色の物語(全10色・前編) 共立アカデミー 2017年1月28日~3月18日

2017年1月28日取材

文/まなナビ編集室 写真/Adobe Stock

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