約2400文字で分かる仏教の基本 醍醐寺の講座より

お寺巡りをしたくなる祈りの心@立命館土曜講座

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醍醐寺

たとえば、ご飯を食べる時の「いただきます」。そこには、他の存在を見つけ、命と命、命と自然を結びつける「祈り」の基本がある。その思想は、人種も宗教も超えていく。

人間が“文化”を持てたのも、この「祈りの心」を持ったからこそなのだと仲田師は説く。自分の大切なものを守りたいという祈りの心が、“文化”につながったのである。

病の治癒を願う「祈り」は届くのか

もともとお寺は、人が集うコミュニケーションの場所であった。しかし、いま京都で、なかなか僧侶に出会う機会も少ない。

仲田師によれば醍醐寺は、僧侶が当たり前のようにそこにいる、僧侶に尋ねれば答えが返ってくる、そういう場所となることを目指しているのだという。

最後に、こんな質問があった。身内に病の子がいるので、朝な夕なとお寺にお参りしている、でも、そんな祈りは届くのか、と。

仲田師はこう語った。

「人のために祈ることは“祈り”の実践です。祈りの思いは巡り巡っていつか自分に返ってきます。治るとも治らないとも言えませんが、祈りは必ず人を救うことになります

醍醐寺の開祖は、理源大師・聖宝(しょうぼう)。弘法大師・空海の孫弟子にあたる人物だ。真言宗を学び、その後、奈良で南都仏教を修め、修験道の道も極めた。真言宗の教えと修験道の教えを融合させたのが聖宝であり、醍醐寺は真言宗醍醐派の総本山にして、当山派修験道の本山となっている。醍醐寺の中には、仏教、真言密教、修験道、この3つの教えが流れ、息づいている。

〔もっと醍醐寺を知るなら〕
東京D140個分の敷地、国宝7万点の醍醐寺が本物の観光寺院化へ

〔大学のココイチ〕立命館大学衣笠キャンパスは、金閣寺から徒歩でも10分ほど。天気の良い日には歩いて向かうのもいい。

 

取材講座:「お寺巡りをしたくなる祈りの心」(立命館大学土曜講座 第3200回)
文/植月ひろみ 写真/植月ひろみ(講座風景)、(c)taka、(c)beeboys / fotolia

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