東京D140個分の敷地、国宝7万点の醍醐寺が本物の観光寺院化へ

お寺巡りをしたくなる祈りの心@立命館土曜講座

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僧衣をまとった仲田順英師のやわらかな語り口により、終始和やかなムードで講義は進む

秀吉による花見が余りにも有名であるが、じつは秀吉以前から醍醐寺に対する武将の崇敬は篤く、足利尊氏や室町幕府の歴代将軍も参詣した。また織田信長からの勝利祈願の書状なども伝わっているという。

公家そして武将と、常に時の権力者に近いところに醍醐寺はあった。だからこそ秀吉の花見も催され、また、江戸幕府から手厚く保護された。

「観光」とは光を観ること。本物の「観光寺院」を目指して

醍醐寺が時の権力と近かったことは、当時の重要な文書類であったり、貴重な宝物が伝わっていることから分かる。醍醐寺には、“本物”が伝えられている。

観光とは“光を観る”と書きます

“光を観る”とは、「本物に触れること」「心を見つめること」だという。今、お寺に遺る文物の数々は、祈りの心によってお寺に修められ、祈りの心によって今に伝えられてきたものである。

“本物の文物”に加え、それを守り伝えてきた“祈りの心”にも触れられる。これこそ京都のお寺が観光で果たす役割なのだと仲田師は語る。

「醍醐寺は“本物の観光寺院”になりたいと思っています」と仲田師。

ともすれば悪い意味で使われることも多い“観光寺院”という言葉をあえて使い、“本物の観光寺院”と表現する。この矜持と“本物の心”が、京都の観光資源の源なのである。

〔もっと醍醐寺を知るなら〕
約2400文字で分かる仏教の基本 醍醐寺の講座より

〔今日の名言〕「醍醐寺は本物の観光寺院になりたいと思っています」

取材講座:「お寺巡りをしたくなる祈りの心」(立命館大学土曜講座 第3200回)
文/植月ひろみ 写真/植月ひろみ(講座風景)、醍醐寺(桜)

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