「学びと私」コンテスト 12月はこんな作文が集まっています![2]

12月の一次審査通過作文/「学びと私」作文コンテスト

12月31日に締め切りとなる第5回「学びと私」作文コンテスト。1次審査を通過して第5回金賞候補作になった作文のうち一部をここで紹介します。12月の第5回のテーマは「語学を学んで」。12月末日締め切りです!

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学びと私コンテスト

12月31日に締め切りとなる第5回「学びと私」作文コンテスト。1次審査を通過して第5回金賞候補作になった作文のうち一部をここで紹介します。12月の第5回のテーマは「語学を学んで」。12月末日締め切りです!

英会話から身に付くもの

 ピアノにバレエ、絵画。私は色んな習い事をしてきました。集まるのは、だいたい同世代の女性。共通している目標は、“それ自体が上手くなること”。上手くなって発表して褒めてもらい、自分が満足する。そういうものでした。しかし、『英会話』だけは、違いました。“話せるようになって何がしたいか”、その先の目標が一人一人違うのです。海外旅行に行きたい人、地元の外国人と話したい人、私のように仕事で使いたい人。だから、教室に集まる人も様々。 “英語で接客できたらかっこいいだろうなぁ…”
 外国人のお客さんは、たいていニッコリ笑って声をかけてくれます。なのに、店員の私が顔をこわばらせてしまうのは失礼で残念な話。スムーズに英語で接客することが何よりの目標でした。
 憧れを胸に私が訪れたのは、カルチャーセンターの初心者クラス。初めて70代の男性と机を並べました。 「隣の人とペアになって、先週の日曜日にしたことを英語で話しましょう」
レッスンの最初はいつもそんな感じでした。
「…うん?なんだって?」
 耳の遠いおじいちゃん。私は買えそうにないような立派な電子辞書を持っていました。私は、アメリカ人講師の出したお題をおじいちゃんにゆっくり説明してから自分の話をしました。 “ええと、好きなアーチストのライブDVDを観た…は、わかりにくいか。美味しいパンを買った話にしようかな”
 相手がわかる内容でなければ会話が成り立たないので、気を遣います。食べ物の話題は、どんな人とでもわりと会話が続きました。毎週、色んな視点で社会問題や自分の趣味を語りましたが、英語を話すという以前に、相当の気配りが必要でした。気付けば私は、普段は交流しない人々の世界に入り、相手を知ろうとする姿勢が身に付きました。
“それで?あなたはどうしたの?”
 意識的に『人』に興味・関心を持たなければ語彙も表現も身に付きません。
 初心者クラスを終えた時、私はペラペラに喋れるわけではありませんでしたが、言葉に加えて表情や身振り手振りで何とか伝えようとコミュニケーションを取るようになっていました。
“外国語を学ぶってこういうことか”
 たくさんの人と話すことで、語学以上のものを学べた気がします。実際に外国の方と英語でコミュニケーションが当たり前にできるようになったら、私は自分の人格そのものも、さらに明るく積極的になると思いました。
 今、自分の子ども達は習い事をしていませんが、情操教育や人と関わる力をつけるために語学を学ばせるのも、ありだなぁと思っています。

あかりさん(39歳)/岩手県

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英語が繋ぐ私とカンボジア

 2011年3月11日、東日本大震災が発生した日、当時大学生だった私は、インターンシップでカンボジアに滞在しており、有名な世界遺産であるアンコールワット遺跡を訪れていた。世界中の旅人が集まるアンコールワットでは、私が日本人だと分かるやいなや「家族は大丈夫か」、「日本がすぐに復興することを祈っている」とたくさんの外国人が英語で声をかけてくれた。この大地震を憂いているのは日本人だけではない。日本の出来事が英語で世界へ発信されることで世界中の人と繋がっているのだと感じられる瞬間だった。
 しかし、世界遺産から離れてカンボジア人が集まるマーケットでは英語は全く伝わらなかった。私はインターンシップに行く前に少し覚えたクメール語を使って買い物をした。簡単な英語と身振り手振りでも満足な買い物はできただろう。しかし、私はクメール語を使うことで店員が笑顔になることが嬉しくて、現地の人と話すときは、できる限りクメール語を使うようにしていた。英語が世界の共通語とはいえ、やはり現地の言葉で現地の人と会話をすることは楽しい。私はこのインターンシップがきっかけでカンボジアが大好きになり、もっとクメール語を勉強してカンボジアの発展に貢献できる仕事をしたいという目標を持って日本に帰国した。世界と繋がることも必要だが、一つの言葉で一つの国と深く関わっていくことも社会の貢献に繋がるはずだと信じていた。
 それから2年後の2013年3月に再びカンボジアに卒業旅行に出かけた。アジアの電子機器を扱う専門商社に就職が決まり、いつかカンボジアに繋がることを夢見て細々とクメール語を独学で学んでいた。クメール語の教材は旅行用の会話本だけだったが、それでも私の勉強の意欲を掻き立てるには十分だった。しかし、日本での2年とカンボジアの2年は同じ時間の経過ではなかった。どこに行っても通じる英語、クメール語で話しかけても「上手だね」と喜んでくれたが、英語で返される。観光で行くことができる地域にクメール語はもう必要なくなっていた。
 そして社会人になってからは、ひたすら英語学習に励んでいる。クメール語と違い、英語の教材はどれを選べばいいかと迷うほど溢れている。現在は結婚して子育てをしている為、仕事のツールとして英語を使うことはないが、英語に触れる機会はたくさんある。新婚旅行でいったキューバでも、国交がなかったにも関わらず英語が通じる国だと実感した。子どもの絵本を買うと英単語が記載されている絵本もたくさんある。やはり現段階では英語ほど身近にある言語はないと言い切れるだろう。だから英語学習が大切なのであり世界中の人が学ぶ言葉なのである。しかし、私は今でもクメール語を勉強していたことを無駄だったとは思っていない。私が語学を学ぶ意味は自分以外の人と繋がりを持つことだと思っている。英語とクメール語、言語は違えど、私にとって語学学習はその言葉を話す人と繋がりたいと思う気持ちの現れである。
 私が最後にカンボジアを訪れてから4年が経ち、今ではもっとカンボジアで英語を話す人の数は増えているだろう。私がこのまま英語学習を続けることでいつかどこかで英語を通してカンボジア人に忘れられない大切なカンボジアの思い出を伝えられる日が来るかもしれない。皮肉にも感じられるが、英語は私がカンボジアと繋がりたいと願った夢を叶えることができる言語なのである。

にじままさん(27歳)/埼玉県

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(一部の作文で編集室が文字の修正をしています)

過去の「学びと私」コンテストの金賞作品はこちらから
11月(第4回)の金賞3本が決定しました
10月(第3回)の金賞3本が決定しました
9月(第2回)の金賞3本が決定しました
8月(第1回)の金賞3本が決定しました

 

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