「おもてなし」英語を身につける3つのポイント

【Interview】田村智子先生(上智大学公開学習センター講師、通訳案内士)

街中で外国人を見かける機会が増えてきた。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、東京都は「外国人おもてなし語学ボランティア」の育成にも乗り出している。「困っている人がいたら手助けしたい。でも英語は話せないから…」と尻込みしている人でも大丈夫! プロの通訳として活躍する田村智子先生に英語学習の基本を伺った。

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駅の自動改札で戸惑っている人を見かけたら

駅の自動改札で戸惑っている人を見かけたら

街中で外国人を見かける機会が増えてきた。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、東京都は「外国人おもてなし語学ボランティア」の育成にも乗り出している。「困っている人がいたら手助けしたい。でも英語は話せないから…」と尻込みしている人でも大丈夫! プロの通訳として活躍する田村智子先生に英語学習の基本を伺った。

駅の「精算機」を英語で何という?

“英語の勉強”というと、受験生時代に必死に単語を覚えた記憶が蘇るだろう。外国人を「おもてなし」するには、どれぐらいの語彙が必要なのか? 田村先生いわく、1つ目のポイントはこれだ。

「どれくらいの数の単語を覚えればOKというものではありません。お勧めの単語集も一概には言えません。自分が使いそうな場面を想定してみてください」。

たとえば、駅の自動改札をうまく通れずに戸惑っている人を見かけたら、「あそこの精算機で精算できますよ」と伝えてあげられると親切だ。だが、こう言おうにも「精算機(fare adjustment)」を知らなければ、自分がオロオロしてしまう羽目になる。重要なのは、むやみに多くの単語を暗記するのではなく、本当に自分が使いそうな単語を見極めることだ

リスニングは3カ月が勝負!

外国人とコミュニケーションを取るには、リスニング力がなければ始まらない。いろいろな音声教材に手を出してみたものの、やりかけては投げ出して押入れに眠ったままという人も多いだろう。田村先生のアドバイスはシンプルだ。これが2つ目のポイントとなる。

「なんでもいいから教材を1つだけ選んで、徹底的にやり抜くこと」

あれもこれもと目移りして手を広げず、同じ教材を何度も聞き込んでヒアリングを完璧にするべきだという。

「3カ月ぐらい集中して取り組めば必ず上達します。やり切った自信もついて、また次のステップに進む意欲が湧いてきますよ」

丁寧な英語、失礼な英語

英語には日本語と違って敬語はない。そんなふうに思っていたら大間違いだ。英語にも丁寧な表現とぞんざいな言い方は存在する。田村先生は、「英語力に自信のない人こそ、ちょっと丁寧な表現を押さえておくといいですよ」と言う。これが3つ目のポイントだ。

「~していただけますか」という意味の「Would you~?」「Could you~?」や、「~はいかがですか」という意味の「Would you like~?」、また「~してもよろしいですか」という「May I~?」など、限られた言い回しでOK。会ったばかりの人に「Can you~?」や、「Do you want~?」などと言ったら、相当カジュアルに、場合によっては失礼に聞こえるものだと知っておこう。

「たとえ英語力がビギナーレベルでも、丁寧に対応しようとしていることが伝われば、相手は悪い気がしません」。「おもてなし」の第一歩は、こうした態度から始まるのかもしれない。

田村智子
たむら・ともこ 上智大学公開学習センター講師、通訳案内士。英語教育、ビジネス会議・交渉英語の指導、通訳(同時通訳・逐次通訳等)の訓練、英語圏の大学・大学院への留学準備の指導等を行っている。『アメリカでホームステイする英語』(南雲堂)、『同時通訳が頭の中で一瞬でやっている英訳術リプロセシング』(三修社)ほか多数。

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文/小島和子 写真/小島和子、(c)naka / fotolia

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